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たくさん人がいて、酸素はなくならないの? - 子ども科学電話相談質問解説

皆さまお疲れ様です!

おとうさんブロガーの える です!!

 

今日も、子ども科学電話相談の解説のコーナーをはじめましょう( ・ิω・ิ)

本コーナーでは、子ども科学電話相談での、面白い質問・深い質問を取りまとめて解説しております。

※決して先生のご回答がわかりにくいと言ってるわけではないので悪しからずm(_ _)m

今日の質問内容は?

今日は2020年11月15日(日)10時台 での質問で、

小学3年生の男の子の、

「こんなにたくさん人がいて、酸素はなくならないの?」

という質問を取り上げたいと思います。

 

回答された先生は、科学の分野の先生

藤田貢崇(ふじたみつたか)先生 です。

聞き逃し配信 

2020年11月15日(日)

10時台 36分00秒あたりからの質問

NHKラジオ第1 子ども科学電話相談をらじる★らじる

先生のご回答は?

植物が酸素を作っているから大丈夫

人間が生きていくのに必要不可欠な「酸素」ですが、確かにこんなに人間がいて、皆絶えず呼吸しているので、無くならないか心配になる気持ちはわかりますね(;´Д`)

しかも、酸素を使って生きているのは人間だけではありません。

(藤田先生)

酸素って、人間だけが使うんでしょうか?

(男の子)

動物も?

(藤田先生)

動物も使いますよね。私たちだけじゃなくて、他の動物もどんどん使っているはずなのに、酸素はなくなっているようには思えないですよね。

どうしてかっていうと、酸素を作り出しているものがあるんです。

ということで、酸素は使うだけでなく、自然界には酸素を作り出す仕組みも有るのですね(^o^)

(藤田先生)

地球上の生き物は酸素を使って生きているんですが、生き物って、とっても大きく分けると動物と植物に分けられるんですね。

実は植物も含めて、酸素を使って生きているんです。

ところが酸素を作り出すものがいて、それが植物なんです。

私達が酸素を使っても、植物が次々と酸素を作り出すので、なくなることはないんです。

植物が二酸化炭素を使って酸素を作るという働きを「光合成」といいます。植物は光を使って、二酸化炭素と水から酸素とデンプンを作るんです。

ということで、私達が酸素を使っていっても、植物が光合成をしてくれることで大気中の酸素濃度は保たれているということですね^_^f:id:el1220:20201121224315j:image

私達の呼吸よりも、化石燃料を燃やす方が影響として大きい

と、このように植物が光合成をすることで概ね酸素濃度が保たれているのですが、実のところ少しずつは減っていっているようで…゚(゚A゚;)

(藤田先生)

現実的には、今のわたしたちが住んでいる時代、酸素の量は本当に同じなのかと言われると、実は少しずつだけれども、1年間当たり0.0004%ずつ、少なくなっていくんです。ゼロになるにはとても長い時間がかかるので、すぐに酸素がなくなることはないのですが。どうして、酸素が減っちゃっていると思いますか?

(男の子)

植物とかを伐採?

(藤田先生)

植物を伐採すると、植物の全体の量が少なくなってしまうことがありますよね。でももっと、二酸化炭素を出してしまう方法があるんですけど、分かりますか?

(男の子)

火事?

(藤田先生)

ああ、火事! 物が燃えると二酸化炭素が増えるんですよね。
この現代社会は、エネルギーとして石油とか石炭、天然ガスとか使っていますよね。エネルギー源として使うんだけれども、その量がどんどん多くなってくると、二酸化炭素の量が増えちゃうんです。

ということで、男の子鋭かったですね(*^_^*)

ものが燃えるときには酸素を使いますから、石油や石炭を燃やすと、一気に酸素が使われて、二酸化炭素とのバランスが崩れてしまうのですね。

(藤田先生)

ですから化石燃料と呼ばれる石油や石炭を使うのはなるべく控えて、むだな伐採をすることなく、大事に森林を保護していきましょうという話になっているわけです。

ということで、最近は化石燃料ではなく、風力発電や水力発電などが見直されて、燃料を燃やさないエネルギー源が模索されていますね!

わざわざ地面に埋まっている化石燃料を掘り返して、燃やしてしまうと酸素と二酸化炭素とのバランスがどんどん崩れて、二酸化炭素が増えてしまい「地球温暖化」などの問題が発生するのです。f:id:el1220:20201121224557j:image

私達の呼吸で使われる酸素はたかが知れていますが、化石燃料を燃やして使われる酸素の方がよっぽど自然界に影響を与えているのですね。

男の子、藤田先生のご回答よく理解できたようでしたね^_^

解説と考察

ではここで、「酸素」と「二酸化炭素」の関係についてもう一度おさらいしましょう(・∀・)

「酸素」が“減る” ことと

「二酸化炭素」が“増える” ということ

これは表裏一体の関係ですね。藤田先生もこの関係性を大前提として説明を進めておられました。

燃える「物」と、燃えない「物」

まず、一口に「物」といっても、身の回りには色んな「物」があります。

ですが、燃える「物」と、燃えない「物」の大きく2つに分けられますよね。

ではここでクイズですが、下に書いたもののうち燃える物と燃えない物はどれでしょう(*^_^*)

  • プラスチック
  • ガラス
  • アルミホイル

いかがでしょうか?

正解は...

  • プラスチック  ...燃えるもの
  • ガラス     ...燃えないもの
  • アルミホイル  ...燃えないもの
  • 紙       ...燃えるもの

となりますよね(・∀・)

では、これらは何が違うのでしょうか?

実はほとんどの場合で、物の中に「炭素」というものが入っているかどうかで、燃えるか燃えないか見分ける事ができます。

 

プラスチックはもとを正せば、石油から作られていて、石油の成分には炭素が含まれています。溶けるような気もしますが、燃えますね。

また、紙は木から作られますが、木も炭素が多く含まれています。

このように、炭素を含んで形作られている物を

「有機物」

といいます。

f:id:el1220:20201122001239j:image

ガラスは珪砂という、言うなれば“石”からできていて、これには炭素は含まれていません。

アルミホイルは、アルミニウムという金属から出来ています。炭素は入っていませんね。

このように、炭素を含んでいない物を

「無機物」

といいます。

f:id:el1220:20201122001254j:image

燃えるものには「炭素」が入っている、と覚えて貰えればと思います(*^_^*)

物の中の「炭素」と、空気中の「酸素」が結びついて、「二酸化炭素」になる

燃えるもの(有機物)には「炭素」が入っているわけですが、有機物が燃えるときには空気中の「酸素」と反応して火を出して反応します。

このことを「燃焼」と言いますよね。

 

最近は「二酸化炭素」が大気中に増えることで地球温暖化になる、とよく言われますよね。

これは藤田先生も言われたように、人間が化石燃料と呼ばれるもの(石油、石炭、天然ガス 等)を、エネルギー源として利用するために燃やしているので、

大気中の酸素が使われて、二酸化炭素が増えるわけです。

例えば、天然ガス(メタン)が酸素と反応する時は以下のような反応になりますね。

f:id:el1220:20201122001315j:image

このように、有機物が燃えるときは大抵、二酸化炭素と水ができます。

だから、燃やせば燃やすほど、酸素は減って二酸化炭素が増えるのですね。

私達が呼吸するのもある意味で燃焼

私達は呼吸する時、酸素を吸って、二酸化炭素を吐きますよね。

実はこれも体の中で「燃焼」と同等の反応が起きているのです。

と言っても、ボーボーと炎を上げて燃えるわけではありません(笑)

私達が食べている、例えば「ごはん(白米)」を食べて、その栄養素(炭水化物)が酸素と反応して二酸化炭素と水を作っているのです。


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この反応は、火を出して燃えるほど激しくないので私達は気づきませんが、実は物が燃えるの大して変わらない事なのですね。

化石燃料は大昔のプランクトンの死骸

ところで、我々が使っている石油や石炭などのことは化石燃料と呼ばれますが、なぜ「化石」と呼ばれているのでしょうか?

実は、化石燃料は大昔の生物(プランクトン)が長い時間をかけて変化したものと言われています。

だから「化石」なのですね。

 

また、藤田先生は「植物が光合成で、二酸化炭素から酸素を作る」と言っていましたよね。

昔生きていたプランクトン、特に植物プランクトンが、大気中の二酸化炭素を吸収して自分の体を作って、そのまま死んで、化石燃料になりますが、

この、動植物が二酸化炭素を吸収して有機物を作り出すことを「炭素固定」とも言われます。

空気中の二酸化炭素を、自分の体を作る有機物に固定してしまうわけですね。

 

その固定されていた炭素を我々が燃やして、大気中に放出してしまっていることになりますね。

化石燃料は太古からの生命エネルギーの結晶

今、世の中のエネルギー源の大半は化石燃料で賄われていると言っても良いでしょう。

日本国内の場合は、現時点では7〜8割火力発電で賄われていると言われます。

また、道を走っている乗用車から、大きな建設機械から、ガスコンロ、給湯器など、

ありとあらゆるものが化石燃料を燃やしてエネルギー源としているのです。

これは想像を絶する膨大なエネルギーです。

 

例えば、人間1人が自転車発電機で発電できる量で言うと、

一般家庭1日分のエネルギーを得るためには、525時間自転車を漕ぎ続けないといけないらしいです。

自分で電気を起こそうとするとこんなに辛いのに、化石燃料を燃やすとあっという間にそれだけのエネルギーが得られるのです。

 

でも、これは太古の昔から数多の生物が生み出してきたエネルギーを借りているだけ、という事に気付いて欲しいのですね。

太古の生物が一生懸命炭素を固定してこなければ、今日私達が使える化石燃料は無かったのです。

そしてそれが枯渇する時は必ずやってきます。

持続可能な未来を実現するためにも、化石燃料に頼らないエネルギー源を開発していきたいですね。

まとめ

  • 動物が使う程度の酸素であれば、植物の光合成で賄える
  • 化石燃料を燃やすほうが、酸素の消費量として大きく、年0.0004%酸素は減っている

と、まとめるとこうなりますね。

私達が普段恩恵を受けている化石燃料がなぜ存在するのかよく考えて、もう後がないということに気付いて、エネルギーの未来を考えていきたいですね。

 

今回の回答難易度f:id:el1220:20201121222935j:image

※個人的な難易度設定です