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軽いガスを入れた風船を宇宙に持っていくとどうなるの? - 子ども科学電話相談質問解説

皆さまお疲れ様です!

おとうさんブロガーの える です^_^

 

今日も、子ども科学電話相談の解説のコーナーをはじめましょう(^^)

本コーナーでは、子ども科学電話相談での、面白い質問・深い質問を取り上げて解説しております。

※決して先生のご回答がわかりにくいと言ってるわけではないので悪しからずm(_ _)m

今日の質問内容は?

今日は2020年11月1日(日)10時台 での質問で、

小学1年生の男の子の、

「空気より軽いガスを入れた風船を宇宙に持っていくとどうなるの?」

という質問を取り上げたいと思います。

 

回答された先生は、天文・宇宙の分野の先生

永田美絵(ながたみえ)先生 です。

聞き逃し配信 

10時台 38分00秒あたりからの質問

NHKラジオ第1 子ども科学電話相談をらじる★らじる

質問に対する回答は?

これは確かに気になる質問ですね(*^^*)

ヘリウムガスを入れた風船はどこまでも上昇していきますからね、仮に宇宙に行ったらどうなるのだろうという疑問は湧いてきそうです。

男の子の予想では、

(男の子)

深海みたいに圧力がかかって割れると思います。

とのこと。

いやいや。。。小学1年生で「圧力」という概念を理解しているとは恐れ入りますm(_ _)m

永田先生、どうでしょうか?(^O^)/

地球で膨らませた風船を宇宙に持っていくと割れる!

(永田先生)

まず答えを先にいいますと、予想の通り「割れる」という答えが、一番多いかなと思います。

ということで、質問者の男の子、正解です!!🎉

(永田先生)

まず、地球上で風船が浮くのは、空気よりも軽いガスを入れているからだよね?

ヘリウムとか。

では、宇宙ステーションにヘリウムガスを入れた風船を持っていったらどうなるでしょうか?

宇宙ステーションには地球と同じように空気があります。

でも、宇宙ステーションの中に居る宇宙飛行士さんはふわふわ浮かんでいますよね?

これは宇宙ステーションの中が「無重力」状態だからなんですね。

ということで、男の子

(男の子)

知っています

とのこと。すごいですねー(^^)

(永田先生)

では、そこに風船を持っていくとどうなるのか、ということですが。

風船は浮かびません。

そのままのところに止まっているんです。

じゃあそれを船外(宇宙)に持っていくとどうなるのかというと、あっという間に破裂してしまいます。

これは、風船の中に入っているヘリウムが大きくなろうとして膨らんでいくからなんですね。

そして、ゴムは限界があるので、限界を超えて大きくなると破裂してしまいます。

ですが、風船の中に、破裂しない程度しか入れておかなかったとしたら破裂しません。

とのことで、微妙な加減があるのですね。

風船が膨らもうとする力と、ゴムの戻ろうとする力とがちょうど釣り合った大きさで止まるんですね(^^)

男の子は「深海のように圧力がかかって割れる」と言っていましたが、

内側からの圧力で割れるということですね・ω・

うーん...まあ、惜しいけど、正解!(笑)

お月さまに持っていったら?

(永田先生)

ではお月さまに風船を持っていった場合はどうなると思う?

ということで、男の子

(男の子)

割れない?

(永田先生)

そう、割れないんだけども、

宇宙だとその場にとどまっていた風船が、月の上だと落っこちちゃうんです。

それは月に重力があるから。 

(男の子)

知ってます

ということで、またこの男の子は物知りですね☺

月には地球ほどでないにしろ重力がありますので、ゆっくりと月面に落ちていきますね。

 

私達が普段地球上で目にしている光景は、当たり前のようで、宇宙から見ると当たり前じゃなかったりするのです。

宇宙のことを考えていると、地球上に住んでいるというのは不思議なことなんだなと思います。

ということでした。

また、

(永田先生)

私達が流す“涙”ですが、例えば宇宙ステーションで流すと、顔に張り付いちゃうんです。

宇宙にいくと面白いことになるんですね。

とのことで、

よく雑巾を絞っても、雑巾にまとわりついて離れないとも言いますからね🤔

水は物体に張り付いてしまうのですね😄

 

質問の解説

ということで、僭越ながら少し図解と、補足説明をさせて頂きます!

今回は「宇宙空間」という特殊な条件下で、普段馴染みがないので、図をもって理解を深めて頂けると幸いです(*^^*)

今回の男の子の質問では、

「空気より軽いガス」

という条件付きでしたが、風船の割れる、割れないと、

空気より重い、軽いはあまり関係がありません。

永田先生もあえて、

  • 「破裂する」現象
  • 「落ちる」現象

の2つのテーマに分けて話をされた感じでしたね。

これらを分けて考える必要があります。

なぜ宇宙では風船は破裂するのか?💥ポイントは圧力

先程、空気より重い、軽いは関係ないと書きましたが、割れるか割れないかのポイントは、男の子も知っていた、

「圧力」

がポイントです。

地球の空気の圧力=大気圧

現在私達が住んでいる地球の地表ですが、実は「大気圧」という空気の圧力が掛かっているのですね。

よく天気で、1013hPa(ヘクトパスカル)

とか言いますよね?あれこそが、「大気圧」というものなのです。

分かりやすく言うと、空気がおしくらまんじゅうになっている状態です。

では、この大気圧がかかっている状態で、風船をふくらませるとどうなるでしょうか?

...

...

どうもこうも、普通に膨らみますよね。

このとき、風船の中の空気はというと、やっぱり約1013hPaになっているので、周りの気圧と釣り合って、形を保てているのです。f:id:el1220:20201104225100j:image

で、この圧力というのは、どんなガスを詰め込んでも、風船に詰め込んだ時点で外の気圧と同じ1013hPaで釣り合いますので、

空気より重い、軽いは関係ないのです。

 

では、これを宇宙に持っていくとどうでしょうか?

宇宙の気圧は?

地上で作った風船の中身は1013hPa

では宇宙の気圧は何hPaなのでしょうか?

...

正解は、

0hPa

です。

圧力はありません!

 

風船の中の空気はおしくらまんじゅうなのに、宇宙は全く空気がなく、圧力がありませんので、風船の中身はどんどん膨らもうとするんですね。f:id:el1220:20201104225123j:image

すると、市販のゴム風船程度の強度だとすぐに割れてしまうのです。

f:id:el1220:20201104225138j:image

 

宇宙ステーションの気圧は?

では、

宇宙ステーションの中では風船は割れないという話でしたが、気圧はどうなっているのでしょう?

子どもさんでも、勘のいい子ならわかると思いますが、

宇宙ステーション内の気圧も1013hPaなのですね。

だから、風船も割れないし、宇宙飛行士さんも、呼吸ができます。

宇宙ステーションの壁はアルミニウム合金で、十分な強度で設計されているので、ゴム風船のように割れることはないのですね。

月の気圧は?

おまけに、月の気圧の事も言っておきましょう。

実はこれ、永田先生のお答えに反しちゃうのですが...

月には空気がありません。ということは、気圧がありません。

ですので月の表面では気圧は

ほぼ0hPa

なのですね。

つまり、風船は割れちゃいます💥f:id:el1220:20201104225206j:image

月は重力が小さく、空気を捕まえておけないので大気がないのですね。

 

このように、割れるか割れないかは、

風船に比べて周りの気圧が高いかどうかで判断できますね(^_^)

宇宙でヘリウムの入った風船は落ちない!

では、次に、ヘリウムの入った風船が宇宙だと浮かぶのか、落ちるのかについて。

地球上ではなぜ風船は浮かぶの?

そもそも地球上ではなぜ、ヘリウムの入った風船は浮かぶのでしょうか?

重力があって落ちるはずなのに、なぜ昇っていくのでしょう?

これこそ、周りの空気と比べて重いのか軽いのかということが、関係してきます。

比重といいますが、同じ大きさでどれだけ重いか、軽いかが重要です。

 

極端な例で説明しましょう。

お風呂とかプールで、空気の入ったボールを沈めようとしてもすぐ浮かびますよね?

これは、水の比重に比べて、空気の比重があまりにも軽いので浮くのですね。

水のほうがより強く地球の重力に引き付けられるので、空気の入ったボールが水の中に沈み込む理由が無いのです。

 

これは空気でも同じ事です。

ヘリウムの入った風船は、周りの空気に比べてあまりにも(表現の程度は人それぞれですが...)軽いので、空気より下に沈む理由が無いのです。f:id:el1220:20201104225225j:image

だから浮いていってしまうのですね(*^^*)

宇宙ステーションの中では動かない!

では、宇宙ステーションではどうでしょうか?

宇宙ステーションの中は「無重力」とみなせる状態になっています。

すると、地球上では重力に引き付けられるはずだった空気が、なににも引き付けられなくなりますよね?

そこにヘリウムの風船が放たれても、ヘリウムにとっては、重力的にどこが上なのか下なのかが無くなりますので、

「浮かぶって何?」

ということになりますよね。

宇宙ステーション内の空気と、風船の中のヘリウムの比重が同じ(ゼロ)になるので、

どこにも浮かび上がることもなく、ふわふわとその場に留まるのです。

宇宙ステーションの船外では?

仮に割れないゴム風船だと仮定して、ヘリウムのゴム風船を宇宙ステーションの船外に持っていくとどうなるでしょうか?

...

答えは、

やはり重力の状態としては「無重力」ですので、どこにも動かずに留まります。f:id:el1220:20201104225247j:image

「無重力」という状態ならば、空気の有る無しは関係無いのですね。

月では?

では、月ではどうでしょうか?

この場合は、永田先生も仰るように、月面にゆっくりと落ちていきます。

月の重力は地球の1/6ですので、1/6の加速スピードで落ちていくのですね。

 

ここで仮に、月に空気が有ったとすると。

ヘリウムが空気より軽いというのは月でも同じ事なので、浮かび上がるはずです。

でも実際には空気が無いので落ちていくのですね。

まとめ

宇宙とは、大半の人が行ったことの無い空間です。

実際に体験もできず、想像してもらうしか無いので子どもさんには理解も難しいでしょう🤔

科学というものに触れ合っていくと、今は理解できなかったことでも、いつか

「こういうことだったのか!」

ということがいくつも出てきます。

僕も未だにそうです(*´ω`*)

子どもさんには少しずつでも科学に触れ合って欲しいですね。

 

今回の回答難易度目安f:id:el1220:20201104225319j:image

※個人的な難易度設定です